【完】Rose.


どうしたものかと、しばし無言が続く。


「……あの、専務?」


「…貴女の口から、真中の名前が出るとは、…いや、まぁそうですよね。うん」


………へ?


「……あの、どういう…」


「…あぁ、すみません。どうしておられるかなと、少し覗いてみただけですから。ご心配無く」


「……そうですか。…えっと…デスクの整理をする時間を頂いたので、片付けていました」


「そうでしたか。…すみません、お邪魔してしまって」


「…いえ、そんなことは」


「………じゃあ、戻りますね」


「…あ、はい。…なにかあれば、おっしゃってください」


「えぇ、ありがとう」


―パタン


「………」


なんだったんだろう。


あのやりにくい、気まずい雰囲気は。


…気に障ることを言ってしまったのだろうか。


「…別に、なんにも言ってないよなぁ…」


だけど、なんだか違和感が拭えない。


「……考えすぎか」


…うん、面倒臭い。そういうことにしておこう。


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