【完】Rose.


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「…では、続きは午後からにいたしましょうか」


「はい。ありがとうございました」


「いえ、お疲れ様です。では、また後ほど」


お疲れ様でした、と真中室長を見送って、力の入っていた肩を少しほぐす。


「…ふぅ」


思っていた以上に、ハードワークだ。


課長業務もハードだったけれど、また違う難しさがある。


今さっき教わった部分だけでも、秘書という業務は奥深い。


一番の役目は、役員を業務だけに集中出来るようにサポートし、常に相手が進む方向へ、先へ目を向けていなければならない。


私にとってはそれだけでもプレッシャーで気が重いのに、…問題はここからなのだ。


出社、退社時間を把握するのは当然のこと。


パーティーや接待、なんらかの催しには必ずパートナーとして同行。


秘書は、専務の顔だ、とも…。


秘書がどれだけ頑張るかで、評価が変わる。


…ここまでは、ここまでは、そうなんだと、出来るかどうかは別として、まだ飲み込める。


…だけど。


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