Only You
 シュワッと口の中で弾けたオレンジの香り。

 こんな香り一つも、全てあなたとの思い出として私の記憶に残りそう。
 一つ一つが特別に感じる。
 綾人の言った言葉や、彼独特の仕草。
 何気なく口笛吹いてる時の曲とか……そんなものまで私の中では特別なの。
 メールはしてないけど、私はパソコンであなたへの気持ちを綴り続けてるんだよ。
 見られると困るから、綾人が帰宅する前にチョコッとメモ程度に入力するだけだけど。

 さあ、ランチも食べたし……どこ行こうかって綾人がのびをする。
 晴れてる日は、二人で歩いてるだけで楽しいよね。
 前みたいに俯いて歩いたりしない。

 私は変わった。

 綾人と向かい合って笑顔で会話できる。
 ふざけて肩に手を回されても、そのまま笑顔になれる。

 今の私……輝けているかな。
 あなたを捕らえて離さない表情を浮かべる事ができてるかな。

 もしそうなら。

 私の日常は、それだけでスペシャルだよ。
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