Only You
「待ってた。1週間がこんなに長く感じたの初めてだよ」
 そう言って、もう一度彼女を深く抱きしめる。
 琴美もそれに答えるように強く俺の背中に手を回してきた。
「私も。本当は毎晩帰ってしまいたい気持ちだったよ・・・お互いよく頑張ったよね」
「うん。ご飯も二人で食べないと味が分からないし、一人で寝る布団も何だか妙に寒いんだよ」
 琴美の小さな傘に二人で入って、ゆっくり歩きながら今日までの事を色々語った。
 傘の柄を持つひんやりした琴美の手に自分の手を重ねる。
 琴美が戻ったんだ……という安心感で肩の力が抜けるのが分かった。

「私もね、自分の分だけおかず作るんだけど。どうしても二人分になっちゃうの。だから余ったおかずを次の日に食べるっていう感じで……全然楽しくなかった」
 そう言って、琴美は渋い顔をして見せた。
 その表情が可愛くて、僕はつい笑ってしまった。
「何よ?」
「久しぶりに琴美の顔見たら……嬉しくて。安心して……」
 本当に、僕はいつの間にこんな弱くなったんだろうか。
 琴美が日に日に強くなるのに対して、僕はどんどん弱くなる。

 琴美を失うのが怖い。

 メールだけで良かったのに、会いたくなった。
 会ったら手をつなぎたくなった。
 手をつなぐと全て抱きしめたくなった……キスしたくなった。

 欲望は留まるところを知らず、僕は琴美に夢中になりすぎているのかもしれない。

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