龍太郎一味のご無体な学園生活
ユーリーの実力は、タイマントーナメントでも実証済みだ。

生徒会内では裏仕事をこなす掃除係として名が知れており、半端な運動部系の部員では太刀打ちできないほどの力を持つ。

そんな彼を、細身の誠一郎が触れずして吹き飛ばすとは。

「く…それが噂の…君の怪異か」

ゆっくりと立ち上がるユーリーの目前で、誠一郎の背後に漆黒の腕が幾本も伸びる。

いや、それは腕と呼んでいいのかどうか。

ウネウネとそれぞれが生命を持つかのように蠢き這いずるそれは、触手という呼び方の方がしっくり来た。

今年の春に沼の付近で誠一郎が憑依させた幼子の怪異は、誠一郎の身の内に潜ませた歪んだ『正義』と、襲われた数多くの生徒達の阿鼻叫喚を食って成長し、このような怪異へと変貌を遂げたのだ。

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