泣き虫な王子様
―――そして、今。

目の前を歩いているのは、別人のような一希くん…。

「かっ…か…かずき…」

名前を言おうとしたら、後ろから女の子たちが、一希くんに近寄っていった。

「一希~おっはー!」

『おはょ。』

「また同じクラスだといいねぇ~!」

『お前と!?マジ勘弁しろって(笑)』

ギャハハハハ

楽しそうな会話だけが耳に響く。

周りの女の子はケバイ感じの子ばかりで、あたしは地味子と言うにふさわしかった。



入学式で、あたしはまた一希くんを見た。

付属中からエスカレーターで入学した生徒が挨拶をするらしく、壇上には…一希くんがいた。

『………ます。新入生代表、高山一希。』

あたしの周りの女の子は、皆一希くんに見取れていた。

あたしの知っている一希くんとは、全然違っていた。
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