泣き虫な王子様
「このクラスの担任の山下だ。よろしくな。」


そして自己紹介が始まった。
「…です。よろしく!」

ついに一希くんが出て来た。
『高山一希です。付属中からそのままで来ました。よろしく!』

女の子は見取れていて、男の子は悔しそうな顔をしていた。

……………

「じゃあ、次は前山サン。」
「はい。」

皆の前に出ると、心臓がドクドクした。

「前山雫です。一般入試で入りました。よろしくお願いします。」

そのとき――
『雫…!?』
突然、一希くんが立ち上がった。

「一希とどーゆー関係~!?」
ケバい女がキツイ目で見てきた。

「ぇっ…」

ただでさえ緊張しているあたしは、パニック寸前。

『命の恩人。』

クラスがシーンとした。

あたしは顔を真っ赤にして席に戻った。



学校を終わって寮に行こうとしたときだった。

『雫ちゃん…』

「えっ…」

誰もいない教室で、目の前に一希くんがいた。

『久し振りだな。ここに来るなんて思わなかったぜ。』

同じぐらいの背だったあのころと違って、スラッとして背が高かった。
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