poncc短編集

白と青の恋




しんしんと降る雪を窓から眺めていた。


もう直ぐ桜も咲きたい頃だろうに、其れを制するように、ただ静かに辺りの浮かれた気持ちを冷ましていく。







一人暮らしにしては広い部屋は、今までの全てを忘れるなと言わんばかりに静まり返っていて、

たった一言




「寂しい」





とか言うものでさえも許していないようだ。 




仕事仲間に誘われた合コンも、上司との席でさえ行く気がおきなくて断ったのに今更何を言うと若干の後悔を背負っては少し泣いた。
そんなループを回っていると流行りの着メロが聞こえて、はっと現実に引き戻される。薄暗い部屋に鳴り響く聞き慣れたメロディーは赤い光と一緒になって私を呼んでいた。


「…もしもし」


『あっ、やっと出た。ねえ今日来ねぇの?』


「え?」


とっさにカレンダーを見ると今日の日付の所に赤く元気な字で、

《中学の同窓会》

なんて書いてあった。後ろには星のマークなんか着けて凄く、楽しそうだ。
加えて今の時刻は午後7時。間に合わないこともない。


「行く、何処だったっけ」


『あれ、駅前のお好み焼き屋だよ』



ーー分かった、準備したらすぐ行くね。

昔を思い出して少し甘えた声で言うと、向こうからも昔みたいな余裕のない『じゃあな』が聞こえてきて、通話終了のボタンを押す手がさっきよりも幾分か暖かくなっているのが分かった。







雪は未だにしんしんと、音も立てずに降り続く。


でも何となく、今日ベッドに入る頃には桜も夢から覚めるような気がした。




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