家元の寵愛≪壱≫


隼斗さんは就寝前に必ず、着物を2枚衣紋掛けに吊るす。

目覚めた時の気分で着物を決めているのかと思っていたら、

1枚目は朝稽古用、2枚目は本稽古用だという。


毎日、朝稽古は本宅の茶室にて4時からの1時間。

その後は一旦この離れに戻って来て、再び就寝。

7時に呼び出しの声がかかるまでぐっすりと。


丁寧に着物を畳む時間が惜しくて、

脱がずに寝ている事が判明。


ホント、初めて見た時は驚いたよ。

パジャマのハズが和服なんだもの。


もしかして……夢遊病??

これって夢なのかな??

……だなんて思ったくらい。



1カ月近く経てば、

この状況にも驚く事は無くなった。


……けれど、

かなり困っている事が1つ!!


着物の裾が肌蹴て隼斗さんの足が丸見え。


そして極めつけは……

襟元が緩んで鍛え抜かれた

均整のとれた胸板が………。


< 2 / 450 >

この作品をシェア

pagetop