家元の寵愛≪壱≫
「ったく!!明日は早く起きなきゃなんねぇのに…」
「ッ?!」
「こんな状態じゃ、ねれねぇっつーの!!」
「なっ!!////」
隼斗さんは笑みを浮かべながら、
私をギューっと更に強く抱きしめた。
睡眠時間を気にするなら、
私の事なんて放っておいてくれたらいいのに。
初釜で忙しい彼は、4時前に起きる予定。
日付が変わろうとしている今、
甘い時間を過ごすには少し無理があるよね?
私は彼の腕から逃れるように
ゆっくりと身体を離し始めると……。
「俺から逃げる気か?」
「へ?」
少し声のトーンが低い気がして、
彼の顔を仰ぎ見ると、
獰猛な肉食獣が小動物を狙っているみたいに。
――――すでに、ロックオンされている。
どどど、ど、どうしよう。
思考を巡らせようとしたのも一瞬で
「えっ?!////」
「フッ、俺から逃げられると思うなよ?」