家元の寵愛≪壱≫
俺らは会場から1番近いホテルに宿泊。
部屋は十数部屋ほど借りて、
着物や茶道具なのど管理する
スペースも確保してある。
そして今、静乃さん達が
その最終チェックをしているというワケ。
4月下旬に花見宴、
5月上旬に海外興行と、
俺にとってハードスケジュール真っ只中。
このゴールデンウィークはロンドンで過ごし、
帰国してもすぐまた違う行事が目白押し。
部屋のベルを鳴らすと、
「はい……家元!?お疲れ様です」
「準備は捗ってる?」
「はい、じきに終わります。ご確認なさいますか?」
「ん、出来れば…」
「どうぞ」
茶道具が並べてある部屋へと。
「破損はございませんでした。今、皆で手入れをしていた所にございます」
部屋の中へ通されながら説明を聞いて…。