家元の寵愛≪壱≫


「ゆの、別れ際に誘うのはやめろ」

「さっ、誘ってなんかッん////////」


言い訳の言葉も彼の唇で塞がれた。

朝の人気の多い駅前だというのに…。



そして……。

―――――チュ~ッ…チュッ。


首筋に紅い薔薇を咲かせ、

妖艶な笑みで私を見下ろし…



「浮気したらタダじゃおかねぇからな?!」

「なっ?!/////す、するワケないじゃないですか!?」

「フッ、ゆのがその気じゃなくても、男は寄って来るから気を付けろよ?」

「………はい////」


隼斗さんは優しく髪を撫でて、

愛おしそうに笑顔を向けてくれている。


「よし、行って来い」

「はい」


私は2週間分の大荷物を持って、

隼斗さんの車を後にした。


改札口を抜けて、

玲と待ち合わせのホームで待っていると


「ゆの~~!!おはよ~~!!」

「玲、おはよ~」


大荷物を抱えた私たちは、

架空の『セミナー合宿』へと……。


< 76 / 450 >

この作品をシェア

pagetop