ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
第二十一章 暗躍の影
「Tsukasa,qu'est-ce qu' il y a ?」<司、どうしたんだ?>



「Tout va bien.」<別に、なんでもない>



 フランス人シェフの仲間内にまで声を掛けられてしまうほど、一条の表情は穏やかなものではなかった。




「Tout va bien.」<遅れるなよ>



「D'accord.」<わかった>



 一条に話しかけてきたのはクリスマスコンテストに参加するシェフの一人で、たまにしか顔を合わせない間柄だったが料理の話はよくする相手だった。


 一条は軽く手をあげて別れると、いつまでも呼び出し音しか鳴らない携帯に苛つき始めていた。



「っ……」



 昨日から続く倦怠感が重く身体にのしかかって、割れるような頭痛に一条は顔をしかめた。
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