ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
第三章 至福の温もり
「ったく、お前おっせぇな! しかもこのナンセンスなサラダの盛り付けなんだよ、野菜に謝ってやり直せ!」



 今日もアルページュのキッチンには一条の罵声が飛び交っていた。



「す、すみません!シェフ、やり直します」



「あぁもう、貸せ」




 一条はなんだかんだ言いながらも、必ず一生懸命やろうとしている若い従業員には目をかけている。



「俺が教えてやれるのはここまでだ、あとは自分で考えてやれ」




 面倒を見たかと思えばちょうどキーポイントになるようなところでいつも突き放す。



 それが一条のやり方だった。




「えっと、どうすれば……あ、春日さん、あの―――ッ!?」




「お前、自分で考えずに誰かに助言を求めたら―――フードプロセッサーに手突っ込ませるぞ? お前も余計なこと言うんじゃない、わかったな」



「は、はい……」



 ギロリと睨まれて、後輩の従業員が身を縮こませている。


 奈央も手を差し伸べたいのは山々だが、今のキッチンの王は一条だ。



 兵士は王に逆らえない、戦乙女も同じだ。
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