恋愛短編集
待ち合わせ場所に行くと、黒服の男性が数人いて、イヤでも目立つ。

中でも、一際背の高い男性が中心に立っていた。

「弥一さん」

穂佑実は走って、中心にいた男性に抱き着く。

「おう。ただいま。一哉、助かった」

一哉はニッコリと笑う。

「いや。んじゃ、またな」

一哉に、穂佑実は軽く頭を下げた。

「弥一さん、うさにゃにゃは?」

弥一は一瞬、瞬きをして、穂佑実の頭を撫でた。

「車に積んである。ホラ、飯。食いに行くぞ?何が食いたい?」

「お寿司!」

「おう」

弥一は、穂佑実の肩を抱いて歩き始めた。

穂佑実は、不敵な笑みを浮かべる弥一の姿を見て、ニッコリ笑う。

「弥一さん!」

「どうした?」

「お願いが、あるの!」

穂佑実は、コッソリ考えていた。

ちょっとだけ、ちょっとだけ、今だけは時々でいいから、外に出たい、と。


END
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