Fragile~思い出に変わるまで〜
リビングに入るなり片手で拝んで謝りながら、健は上着を脱いで、ネクタイを緩めた。


「今、食べちゃおうかなって思ってたとこ」


ヘヘッと笑いながら、ペロッと舌を出す。


「とりあえず着替えてきたら?

落ち着かないでしょ?」


そう言って、上着を受けとり、それをハンガーにかけた。


健が部屋着に着替えて戻ってくるのを見計らって、さとみはタイミングよくカレーライスをよそう。


カレーライスとミモザサラダ、カボチャのスープをテーブルに並べて、自分も席に着いた。


会話もないまま黙々とカレーライスを口に運ぶ健は、よほどお腹が空いてたんだろう。


美味しいなんて言うことのない健の好き嫌いは、食べ方でわかる。


これだけガッツリ食べてくれるのは、美味しいと思ってくれてる証拠だ。


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