Fragile~思い出に変わるまで〜
正直、さとみのことが気にならないわけではなかったけど、自分が心配かけている手前、何も言えない。


さとみも俺が藤森と会うのに遅くなるってメールがきたとき、こんな気持ちだったのかと、さとみに申し訳ない気持ちになる


しかも今後、何回かそういう思いをさとみにさせなければいけないと思うと憂鬱だった。


ふとこないだ桜井が言ってたことを思い出す……


『奥さん健気でそそるんですよね』


桜井がそう思うってことは、他の男性にもそう思われてる可能性もあるってことで……


さとみは誰と飲みに行くんだろう?


男もいるんだろうか?


今まで感じたことのない不安が襲ってくる。


たぶんさとみがそんな気持ちにさせないように、ずっと俺だけを見ててくれたおかげだったのだろう。


俺は結婚して初めて、嫉妬という感情を知ったような気がした。

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