Fragile~思い出に変わるまで〜



それはいつもと変わらない日常の一コマのはずだった。



「来月、中学のクラス会があるらしいんだ」



「えっ!?」



夕食後、夫が何気なく言った一言に、洗い物をしながら聞いていた私は思わずそう聞き返していた。



「誰から……連絡あったの?」



遠慮がちにそれでもはっきりと、対面式のキッチンから、ダイニングテーブルで新聞を読んでいる夫にそう訊ねる。




結婚して10年――

結婚が早かったせいか、彼はあまり学生の頃の友人とは連絡をとっていないはずだった。

妙な胸騒ぎを覚えながら、その突然の降って湧いたような話に戸惑いを隠せない。



「いや、こないだ偶然中学の友達に会ってさ

アドレス聞かれたんだよ」



新聞から目を離すことなく、なんでもないことのように答える夫になんだかイライラした。

それと同時に、夫を問い詰めることが出来ない自分にも腹が立つ。


中学の友達って誰?
偶然ていつのこと?


聞きたくても聞けないまま黙りこんだ私になにかを察したんだろうか?

彼は付け足すようにポツポツと話し始めた。


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