Fragile~思い出に変わるまで〜



酒は全く飲めないから心配ないが、帰りが何時になるかわからない。


俺は歩いて会場の居酒屋に向かっていた。


2月に入ってからというもの、あんなに暖冬だと言われてたのが嘘のように、雪や雨が降り、気温も低くかなり寒い。


――手袋してくれば良かったな?


両手に、はぁっと息を吹き掛けて温めようとするけれど、一瞬だけ温まってすぐに冷たくなってしまう。


吐く息も白く、それを見ただけで逆に寒さが増したような気がした。


もともと出無精な上、寒いのが大嫌いな俺は、もうすでにめんどくさくなってる。


――だいたい20年ぶりに会って盛り上がんのかな……?


酒も飲めないし、普段飲み会にもあまり参加しない方だ。


それだけに、久しぶりの再会に緊張を隠せない。

< 21 / 589 >

この作品をシェア

pagetop