Fragile~思い出に変わるまで〜
「健!」


店の入口にいた男性が、突然こっちを見て自分の名前を呼んだ。


驚いて声のする方に顔を向けると、懐かしい声がした。


「思ったより早かったなぁ、仕事が忙しいって言ってたから、ちょっと諦めてたんだぞ!」


満面の笑みでこちらに近づいてくる顔は、少しだけ中学のときの面影が残っている。


「後藤?」


自信なさげに呼ぶ声に、後藤は笑いながら俺の肩を叩く。


「そうだよ!俺、俺!
そんなに変わったか?
はははっ
お前は変わんないなぁ

久しぶり?元気だったか?」


幹事なので早めに来てくれていたんだろう。


ちょっと緊張していた気持ちが、後藤が気さくに声をかけてくれたことで、ふっと緩んだ。

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