Fragile~思い出に変わるまで〜
怯えているのか、申し訳ないと思っているのか、彼女はそう言いながら俯いていく。


それでもはっきり拒絶された彼は、観念したように今度は哀しみの色を宿した瞳で、俺の方を見た。


「大沢さん……

お会いできて良かったです

あなたになら安心して二人を預けられます

二人を……あやとひなをよろしくお願いします

もう二度と……二人の前には現れないとお約束します」


深く頭を下げる彼に、少しだけ同情した。


これは全部芝居で、言った台詞も全部嘘なんだから……


後ろめたい気持ちがないといえば、嘘になる。


それでも中田にそう約束させることができて、健はホッとしていた。


頭の中で任務完了……と呟くと、俺も彼に深々と頭を下げた。


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