Fragile~思い出に変わるまで〜
シーンと静まり返った家の中は、さとみがいなくなってからゴミや洗濯物で溢れている。


何もやる気にならなかった。


食事さえ、まともにとれていない。


共働きなのに、彼女が家事もきちんとこなしてくれていたことに改めて気づく。


それでも仕事には行かなければならない。


毎日毎日、なんとか重い体を起こしては会社に行く日々だ。


藤森には、あれから一度だけひなに会う口実で会いに行った。


そんな状態じゃないのはよくわかっていたけれど、元気になったひなに一目会いたかったから。


俺の顔を見て、本当に嬉しそうに駆け寄ってくるひなの姿を見たとき、俺の心は少なからず癒された。


こんなときだからこそ、俺を必要としてくれる存在がうれしかった。

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