Fragile~思い出に変わるまで〜



ふと目を覚ますと真っ暗で何も見えない。


連休だからと酒を飲みすぎて、寝てしまったようだった。


もう……夜か……


仕事がないと朝も夜もよくわからなくなってくる。


カーテンも閉めきったまま電気もつけずに、現実から逃れたい一心で休みの日は一日中飲んでいた。


いくら飲んでも淋しさは埋まらないっていうのに……


何もする気が起きないせいで、部屋の中はすっかり荒れ果てていた。


コンビニの袋や弁当の空き箱、それに缶類があちこちに転がっている。


もうなにもかも嫌になっていた。


さとみ……


思いが募る。


失って初めて自分にとってどれだけ大事な存在だったのかがわかった。


自業自得だ……


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