Fragile~思い出に変わるまで〜
「もう今日は奢っちゃうから、美咲の好きなものどんどん頼んじゃって!」


気持ちが大きくなってそう言うと、美咲は軽く私を睨んで呆れたように口を開く。


「なぁに、言ってんの!

仕事もしないで実家でお世話になってる身分のくせに

私に奢るお金があるんなら、これから産まれてくる子のために貯めときなさい!」


そんな風に叱られて、本当に私は幸せ者なんだと実感する。


「そうでした、ごめんなさい」


ペロッと舌を出して、上目遣いに美咲を見ると、腕を組んでわかればよろしいとお父さんみたいに頷いてる。


それからメニューを取り出して、どれにする?と料理を選び始めた。


少し薄暗い照明の中、そんな彼女をじっと見つめる。


美咲の存在がありがたくて、私は感謝しながら涙が出そうになるのをぐっと堪えた。


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