Fragile~思い出に変わるまで〜
今度は冷静になるべく穏やかな声で答える。


「わかってくれればいんだよ

それからあんまりひなが可哀想だから、今度三人で焼き肉食べにいくって約束したんだ

だからどっかの夜、空けといて?」


少し嫌味になってしまったかなと思ったが、鈍感な彼女にはちょうどいいのかもしれない。


あやは、わかった……と小さく言うと、もう一度ごめんなさいと謝った。


誰と出掛けているのかも問い詰めようとしたけれど、すでに意気消沈しているあやをこれ以上追い詰めてもいい結果は生まれないと判断する。


俺はうなだれているあやの背中をそっと押しながら、お風呂に入ってくるよう促した。


俺も、もう寝よう……


とりあえずひなのことは伝えられたし、まあよしとするか。


そう満足して寝室に向かうと、先にベッドに潜り込みそのまま深い眠りに落ちた。
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