Fragile~思い出に変わるまで〜
少なくとも健がまだ自分に好意を持っていることをわかった上で相談を持ちかけていたんだろう。


そして子供がいない健に子供への情を植え付け、最終的には健が放っておけない状況に持っていったんだ。


だからこそ……


あのとき誓ったように、彼女みたいに男の人にすがって自分では何もできないような母親にだけはならないと今でも思っている。


ふと目の前の二人を見た。


まるで兄弟のように美味しそうにお弁当を食べている。


ホッとする光景に、先程までの負の感情が緩やかに溶けていき、暖かい気持ちになっていく。


それと同時に健は幸せに暮らしているんだろうか……そんなことを思う。


穏やかで幸せな日々を私は過ごせている。


健にも同じように幸せでいて欲しい。


自分の幸せを噛み締めながら、私は健が幸せであることを願った。


< 404 / 589 >

この作品をシェア

pagetop