Fragile~思い出に変わるまで〜
「俺……もう一度さとみと向き合ってみるよ

どんな結果になっても、自分の気持ち……話してみる

今まで何にも知らないで、お前にも迷惑かけて……

ほんと……ごめんな?」


頭を下げた俺に、桜井は落ち着きを取り戻すように小さく息を吐くと、震える声で言った。


「さとみさんを……

……よろしくお願いしますね?」


まるで結果がわかってるかのように、桜井がそう呟く。


俺は桜井がどんな気持ちでさとみを託してくれたんだろうと思った。


ほんとは俺なんかに頼むなんて、嫌だったに違いないのに……


桜井の気持ちを無駄にしないためにも、さとみに自分の思いをきちんと伝えよう。


そう心の中で決心しながら、俺は桜井に深く……感謝した。
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