Fragile~思い出に変わるまで〜
そこまで言って、俺は姿勢をただした。


ゆっくりと息を吐いてから、一番伝えたかったことを口にする。


「さとみに子供がいてもかまわない

子供も引っくるめて丸ごと二人を愛していくから……

だから……」


ギュッと拳を握りしめる。


「俺ともう一度結婚してください!」


ようやく……言えた。


自分の今の気持ちをありのままさとみにぶつけたつもりだ。


あとはもうどっちに転んだとしても受け入れるしかない。


俺はそう思いながら頭を下げて、さとみの返事を待つ。


さとみが何も答えないまま、時間だけが過ぎて行き、重苦しい沈黙が続いた。


俺はだんだん不安になっていく。


やはりダメなのかと諦めかけたときだった。


鼻水をすするような音が聞こえてくる。

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