Fragile~思い出に変わるまで〜
立って並んでいると、藤森と身長差があることに気がつく。


不謹慎にもそんなことを考えながら、彼女の頼みを聞いてあげられなかったことを謝ろうと口を開きかけた。


けれどそれを遮るかのように、藤森が俺の胸に体を預けて……


「……っ!」


一瞬、何が起こったのかわからなかった。


動揺しながら必死に肩を掴んで引き離そうとする。


それでも藤森は俺の胸に顔を埋めて、しがみついたまま離れない。


「あの人があきらめてくれないと、不安なの……
娘にも何かされたらって思ったら……私……

お願い!健にしかこんなこと頼めないの」


言いながら今度は顔を上げて、涙を浮かべた瞳で上目づかいに訴えてくる。


「はぁぁ……」


深いため息をついて、俺は観念したように言った。


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