Fragile~思い出に変わるまで〜
そう力無く笑う健に違和感を覚えながら、それでも今夜話すって言ってくれてるんだからと納得したふりをして頷いた。


「わかった

じゃあなるべく早めに帰るようにするね」


何か言われるんじゃないかと思っていたのか、健はホッと安心したような顔をする。


「俺もなるべく早めに帰るよ」


そう言って、トーストにかじりついた健は、私と目を合わせなかった。


それ以上聞いてほしくないような、そんな空気を纏ってる。


いつもと違う健の態度に、不安が募っていく。


それでも私は、結局何も言えずにカフェオレに口をつけた。


食欲なんか出ない……


パクパクとサラダやハムエッグを平らげる健を見ながら、私は目の前の皿に手をつけることが出来なかった。

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