Fragile~思い出に変わるまで〜



会社について、自分のデスクに向かう途中、桜井とすれ違った。


「あっ、課長!
おはようございます

……なんか顔色悪いですけど大丈夫ですか?」


心配そうな顔で覗き込んでくる桜井は、なぜかいつも俺の変化を敏感に感じとる。


「あー、おはよ

ちょっと寝不足でな?」


わざと眠そうな顔で答えると、桜井はハッと思い出したように、俺に近づき顔を寄せてきた。


「昨日、あれからやっぱりなんかあったんですか?」


一応、周りを気にしてなのか小声でそっと耳打ちしてくる桜井に、俺はうんざりしながら、はいはいと軽く受け流した。


「友達の相談に乗ってたんだけど、思ったより長引いちゃっただけだよ」


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