天を衝く槍
19.天を衝く槍
それから一週間後。


彼のお葬式が行われ、私はもう二度と彼と話すことなど出来ないのだと、身をもって知った。


場に行った後のことは正直、覚えていない。


アルが小さな手で私を宥めるように頭を撫でてくれていたことだけが記憶に残っている。


それから数日、私は食べ物が文字通りあまり喉を通らなくなってしまった。


今になって、彼が私にとってどれだけ大切な人か思い知らされた。


任務があったから、そんなしょっちゅう彼と会っていたわけではないのに、彼がいないのは無性に寂しかった。


覚悟はしていたのに。


していたはずなのに、それでも虚しかった。
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