天を衝く槍
「そんでチヤクっていうのは、Lunaの一人。シローと任務に行くと高確率で遭遇する。因みに女」
ジルはまるでゲームの攻略本を読むようにスラスラと言った。
「思うんだけど、あれ絶対シローのことが好きなんだってば」
リャノが真剣な顔をして、腕を組む。
「なんで?」
「シロさんを?」
私とジルの声がハモった。
「だってさ、だってさ、シローの時だけ出没するんだし」
「いやいやいや、よく考えろよ」
根拠のない確信を持ったリャノの考えをジルが制止する。
「LunaとAliceの恋は相容れんぞ。簡単に言ったら蛇と蛙の恋だぜ、蛇と蛙」
ジルは、あと蟻と蟻地獄のアレとか…と付け足し、報われるわけねーだろ?とリャノを見た。
―—蛇と蛙って…
「例えがスゴイね。蟻地獄のアレが何かは分からんでもないけど」
ジルに見られたリャノは苦笑する。
「ほっとけ」
自分でもある意味すごいことを言ったことに気づいたジルは、恥ずかしそうに言った。
そんな無益なことをチヤクがするとは考えにくいんだよ、と。
「…まぁ、そんなことどうでもいいから帰ろうぜ」
ジルはそう言い、立ち上がって伸びをする。
「どこに?」
リャノが意地悪そうな笑みを含んでジルに聞いた。
「どこに?……って、ロッジだろ」
「あ、家じゃないんだ」
ジルはさも当たり前のように言い、私は本音が出てしまった。
そしてその後ロッジで一休みして、家に帰ったのだった。