ブラック王子に狙われて②
Ⅵ 超特大のクリスマスプレゼント

・ご褒美券、一気に3個消費



今日は待ちに待ったクリスマス・イヴ。

終業式を終えて、慧くんと下校中。

普段は有無を言わさず、どちらかの自宅へ直行なんだけど。

今日ばかりは、ちょっぴり贅沢をしたくて。

残り6個あるご褒美券から、おねだりで消費しようと思ってる。


「慧くん」

「……ん?」


大通り沿いの信号待ちで足止めされてる私達。

クリスマス・イヴというのと、

終業式で半日下校というのが重なって、

辺りは若者で溢れ返っている。

それがお気に召さない彼は、

校門を出てすぐに、眉間に深いしわを刻んだ。


日中とはいえ、12月の下旬の気温は一桁。

さすがに息も白いし、肌をさす空気が冷たい。

そんな寒さから守るように

彼のコートのポケットに収まる私の手。

彼がぎゅっと温めてくれている。

そんな彼の手を握り返して……。


「ご褒美券、使ってもいい?」

「今?」

「……うん」

「いいけど、何?」


信号機をじっと見つめていた彼の視線が、

不安が滲む私の瞳を捉えた。


「この後、久しぶりにデートしたい」

「ん、いいけど」

「ホントっ?!」

「ん、クリスマス・イヴだしな」

「……うんっ//////」

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