ブラック王子に狙われて②
クリスマス・イヴのデートも
あっという間に終わりを告げようとしている。
私の自宅まで、もう1キロも無い。
慧くんとは明日も逢う約束をしてるけど
クリスマス・イヴという特別な時間が終わってしまうのが
何だか無性に心寂しく感じて。
久しぶりのデートを満喫した私は、
無言で歩く彼の手のぬくもりを感じて。
「慧くんっ」
「ん?」
今日何度目か分からない呼びかけ。
基本、無口な彼だから
私が話しかけたり、視線が合わない限り、会話が弾まない。
最初の頃は、それもいたたまれなくて嫌だったけど。
最近は心地よささえ感じるようになって来た。
すっかり慧くん仕様に仕上がってるらしい。
「あのねっ/////」
「何?」
「ご褒美券、もう1個使ってもいい?」
「は?………ってか、今日3個目だぞ」
「うん、分かってる/////」
さすがに驚くよね。
1つ消費するのだって、めっちゃ悩んでたくらいだから。
目を見開く彼を見つめて、勇気を振り絞る。
「冬休みにね」
「……ん」
「慧くんちに……泊まりに行ってもいい?」
「………え?」
やっぱり無理だよね。
慧くん、完全に固まったよ。