ブラック王子に狙われて②


クリスマス・イヴのデートも

あっという間に終わりを告げようとしている。

私の自宅まで、もう1キロも無い。

慧くんとは明日も逢う約束をしてるけど

クリスマス・イヴという特別な時間が終わってしまうのが

何だか無性に心寂しく感じて。


久しぶりのデートを満喫した私は、

無言で歩く彼の手のぬくもりを感じて。


「慧くんっ」

「ん?」


今日何度目か分からない呼びかけ。

基本、無口な彼だから

私が話しかけたり、視線が合わない限り、会話が弾まない。

最初の頃は、それもいたたまれなくて嫌だったけど。

最近は心地よささえ感じるようになって来た。

すっかり慧くん仕様に仕上がってるらしい。


「あのねっ/////」

「何?」

「ご褒美券、もう1個使ってもいい?」

「は?………ってか、今日3個目だぞ」

「うん、分かってる/////」


さすがに驚くよね。

1つ消費するのだって、めっちゃ悩んでたくらいだから。

目を見開く彼を見つめて、勇気を振り絞る。


「冬休みにね」

「……ん」

「慧くんちに……泊まりに行ってもいい?」

「………え?」


やっぱり無理だよね。

慧くん、完全に固まったよ。

< 137 / 288 >

この作品をシェア

pagetop