ブラック王子に狙われて②


慧くんママが手にして持って来たのは、かなり分厚いアルバム。

0歳児の頃から中学校に入るくらいまでの写真がびっしりと。

それをじっくりと眺めていた、その時。

彼と彼のお兄さんと、そして、とある女の子の3ショットの写真が。

それも、1枚ではなく、何枚も。


「ママさん、この子は?」

「え?………あ……」


何、その表情。

『しまった』みたいな顔されてますよ?

見ちゃいけない写真だったのかな?


次のページを捲っても、またいる。

しかも、その女の子、慧くんのことが好きみたい。

どの写真も慧くんの腕に絡みついてる。


「従妹とかですか?」

「………従妹ではないかな」

「………そうなんですね」


何、今の『間』。

しかも、さっきより表情が硬いんですけど。


何だか、嫌な予感がする。

彼の初恋の子?

家族旅行だと思われる写真にも写ってるし、

クリスマスとかのイベント写真もたくさんある。

ってことは、長年一緒に過ごしたことを物語ってて。


私は平静を装ってアルバムを閉じた。

それ以上、見たくなかったから。


「ビデオとアルバム、有難うございました!お風呂に入る用意して来ますね」

「……えぇ」

< 157 / 288 >

この作品をシェア

pagetop