ブラック王子に狙われて②


俺の予想だと、『やだよ』とは言わないはず。

『どうしたの?急に…』とか、

『それって、……プロポーズ?』的なことは言うだろうけど。

例え、今この場で断られたとしても関係性が変わるわけじゃない。

ただ、今後の出方が今までよりもペースアップするのは間違いないが。


ラグの上に座る彼女の隣りに座り直して、

テーブルに頬杖をついて、彼女を優しく見つめると。


「婚約って、何するの??」

「あ、……それな」


そういう返しで来たか。


「日本式で言ったら、結納というやつになって。婚約成立の証に結婚で受け入れる側から品が贈られて、貰われる側が返礼する儀式の事だと思うけど。別に俺は形には拘ってないけど」

「……大人の世界のだね」

「まぁな」

「慧くんは、それがしたいの?」

「したいというか、……さっきみたいなのは、もう勘弁というか。……出来ることなら事前に予防線張っておければ楽かと思って」

「……うん」

「けどさ、儀式をしても、気持ちは別物だから。気持ちさえブレなきゃ儀式は要らねぇんだけど」

「……してもいいよ」

「え?」

「“あからさまに”じゃなくても、慧くんに女の子が寄って来なくなるなら、その方がありがたいもんっ//////」

「っ/////」

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