ブラック王子に狙われて②
「紙に書くか?」
「へ?」
「LINEでもいいけど」
彼の表情は至っていつも通り。
私だけが焦っているというか。
彼がスマホをポケットから取り出したのを見据え、
私も鞄の中からスマホを取り出す。
すぐ隣りにいる彼にメッセージを送ろうと
脳内のあるワードを入力しようと試みるんだけど、
それすら出来そうにない。
だって、それを打って送信したら、
ガツガツした女だと思われたら嫌だもん。
「カウントするぞ」
「えぇぇぇぇ~~っ!!」
こういう時に限って彼は意地悪にカウントする。
さっきもカウントされたばっかりなのに。
ここ最近、優しい王子様スタイルだったから
すっかり忘れてた。
彼がドSな腹黒俺様王子だという事を。
「い――――――ち」
「えっ、ちょっ……待ってっ…」
「に――――――い」
「ちょっとぉぉぉ~~っ」
「さ―――――「もうっっ!!」
降参。
彼には口で勝てそうにない。
いや、勉強でも容姿でも、だけど……。
勝ち目のない勝負はするだけ無駄だ。
フゥ~~ッと大きな溜息を溢して、彼を真っすぐ見据えた。