ブラック王子に狙われて②
「ん」
ユウくんに倣ってなのか、
慧くんもポケットから取り出したものを手のひらの上に。
「ブレザーの……ボタン?」
「ん」
「恐ろしい争奪戦みたいな感じになるって聞いてたから、事前に取っておいたってわけ」
「えぇ~~っ!」
「ほら、ゆず~、ちゃんとゆずの分、取っておいたんだから臍曲げるな」
ユウくんはゆずの頭を優しく撫でた。
彼らはちゃんとうちらの気持ちを先取りしてくれていた。
無視されたんじゃないと分かると、
胸の奥がじんわりと温かくなる。
「ありがとっ/////」
「……ユウ、ありがとっ」
「どぉいたしまして」
ゆずはユウくんからボタンを受け取った。
それも嬉しそうな表情で。
私も慧くんからボタンを受けとる。
ちょっと気恥しさを滲ませて。
だって、『両想い』の証だもんね。
「この後さ、最後の制服Wデートしない?」
「あっ、いいかも!!」
「食事会は18時集合だから、それに間に合うようにすれば」
「うん!!」
うちらは教室で沢山写真を撮って、
その後はWデートをするために街へと繰り出した。