ブラック王子に狙われて②
「何?」
「っ……」
生物の宿題プリントをしながら、
慧くんを盗み見してるのがバレてしまった。
というか、どうやって浴衣のことを切り出そうかと
ずっと考えてるんだけど、言い出し難くて。
「言いたい事でもあるのか?」
ッ?!
慧くん、あなたはエスパーですか?
いつもながらに感心しちゃう。
どうして心の中が読めちゃうんだろう?
「あのね?」
「ん」
シャーペンをテーブルに置いて、
体ごと、慧くんの方に向き直った。
「来週末の夏祭りなんだけどね」
「ん」
「その……えっと……」
「んだよっ、ハッキリ言えばいいじゃん」
「っ……」
言い淀んでる私が悪いんだけど、
彼がイライラして来たっぽい。
ちょっと怒気が含んでて怖いよ……。
フゥ~と大きく息を吐いて。
「期末試験のご褒美券、1つ使う!!」
「ん、……何?」
冷めてるなぁ。
もっと瞳をキラキラ輝かせて、
期待してくれてもいいのに……。
「ゆずとユウくんもそうだし、私も着るから、慧くんも浴衣着てっ//////」
「浴衣?」
「うん……ダメ?」