溺愛ごっこ
「何を?

何を納得しないんですって?」

グイッと引っ張られたと思ったら、振り向かされた。

今日初めて見た彼氏の顔は、ひどく怒っていた。

「電話越しとは言え、あんなの聞かされて…黙ってる訳ないだろ!

納得する訳ないだろ!」

「へえー?

早い話が、自分はオーケーで彼女はダメみたいな?」

聞き覚えのある声が割って入ってきた。

「よっ!」

久世が手をあげてあいさつした。

「言い忘れてたことがあったから戻ってきた」

久世は飄々としていた。
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