百鬼夜行と暴走族 弍


「おお、ありがとな」


「いや、アタシも休ませてもらうわ」


「十夜、十六夜の夜着を頼む」


「はい、わかりました」


 
勝手に部屋へと上がる獅蛇を見送り、天堂は十六夜を抱えて風呂に行った



身体について固まった血を温かい湯で洗い落とすためだ



天堂は十六夜の着流しを脱がし自らも着流しを脱ぎ、ぐったりとしている十六夜を抱え湯舟へゆっくり浸かった




いくら傷がついていても美しい妻の身体




十六夜の頭の傷が塞がっているのを確認して頭を撫でる




湯の温もりと頭を撫でられていると気づいたのか十六夜は虚ろな、しかし綺麗な目を開けた



< 93 / 393 >

この作品をシェア

pagetop