死にたがりの魔法使いくんと死神ちゃん
私から見たら、ただの死にたがりのヘタレ魔法使いにしか見えないけど。
アイツがそんな立ち位置だったなんて、これっぽっちも知らなかった。
私と出会す度に、「殺してくれぇえ!」だもの、はじめの頃はコイツ気が狂ってるんじゃないの!?と、ある意味で恐怖を抱いていたものだ。
そんな奴が、モテる?
「やっぱり信じられないわ…」
「んもう!死神ちゃんが、信じる信じないじゃくて、事実なの!」
全力でリーダに説き伏せられ、私はこれ以上はもう何も言わないでおくことにした。
その後は、また再びみんなで景色を眺めながらパンを食べ、談笑をしながら時間を過ごした。
「あー。お腹いっぱい!」
私はゴロンっと、芝生の上に寝転がる。
「リタさん、リーダ、ご馳走さま。ありがとう、相変わらず美味しかったわ」
座っている2人を見上げながら、お礼を言う。
「こちらこそ、美味しそうに食べて頂いて、作った甲斐がありました」
のほほん、と笑みを浮かべるリタさん。
癒されるわ、この人。
「また、お店に買いに来て!」
と、リーダ。
「そうね、そのうちまた買いに行くわ」
そう、私が言うとリーダもにっこり笑って、待ってると言った。
「じゃぁ、私達はそろそろ帰ろうか、お姉ちゃん」
「そうね」
辺りはもう、夕方と言うに相応しい景色となっていた。
太陽が沈みはじめ、…やがて夜が来る。
「死神ちゃんは、どうする?」
まだ寝転がったままの私に向かって、立ち上がりながらリーダが、問いかけてくる。
「私は、まだここにいるわ」
そう答えると、そっか。と言ってリーダはパンを入れていたカゴを持ち上げる。
「2人とも、気を付けて帰ってね」
「ありがとうございます。死神さんも、お気を付けて」
「またね!死神ちゃん!」
リタさんはペコリと会釈をし、リーダは手を振りながら、2人は丘を降りていった。