足枷な現実
私は彼のお出かけを
手伝った。
しかし、私が思っている以上に
大変なことばかりだった。
今までやれていた事ができない。
当たり前が当たり前にできない。
「大丈夫、大丈夫(笑)!」
そう声では笑っていたけれど
たまに彼は悔しそうな顔をしていた
彼が乗る車いすを押しながら
何気なく、私は
『元気だねー』と彼に問いかけると
「いつまでも、悲しい顔してたら
俺はいいけど、周りの人に迷惑がかかる。
俺はそれが一番つらい」
そう彼は少しうつむきながら話した。
彼の本音はこれだったかもしれない。
『大丈夫、大丈夫』
私は彼の弱気な発言に
耳を傾けなかった