ある冬の日



教室までの距離、みんなで列になって歩いているのに、だから移動教室みたいにひとりぼっちじゃないはずなのに、いま、私。



それなのに、ひとりぼっちになった気がするのは、どうしてなんだろう。



いつも以上にうつむき加減で歩く。



今日は教室までの距離がいつもの卒業式練習後の距離より2倍も長く感じる。



つらい。この感じにはもう慣れたつもりでいたけど、いつまで経ってもやっぱりやだ、この空気。



今日は隣のクラスの部活(美術部)がきっかけで仲良くなったりっちゃんの家で漫画読む約束をしている。



何読もうかなー。



確かりっちゃんは椎名軽穂先生の『君に届け』の4巻を持ってたはずだ。



今日はまずそれ借りて読もうかな。



そのことを考えるだけでもうこの空気なんかどうでもよくなる。



クラスの中にいる自分は自分でも大嫌いだけど、共通の趣味で語り合える仲間に恵まれている私は、やっぱり幸せ者だ。



学校が終わったら、りっちゃんの家に行く前に近くのコンビニでお菓子買いに行こ。



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