ある冬の日



まるで珍しいモノでも見るかのような、みんなは最初、私をそんな風な目で見てきた。







「今度また引っ越すことになったから」



「えっ!?引っ越すってどこに!?」



中学2年生の秋、夏休み明けでまだ頭がぼーっとしてたときにお母から聞かされた話は、



お父の仕事の都合で県外の遠い所に引っ越さなければならなくなったという話だった。



「嫌だっ!また引っ越して転校なんて絶対やだからっ!」



「里絵ちゃん、しょうがないことなの。お母さんだってまた引っ越しなんて最初は嫌だったわ。里絵ちゃんが新しくできた学校のお友達とまた離ればなれになるの嫌って言うと思ったし。それに、お母さんだって……ご近所さん付き合いまた1からっていうのも結構大変なのよ。ハァー。でもね、私たちは家族なんだから。また向こうでも一緒にがんばりましょ」



大人って卑怯だ。子供のこと考えてくれているのかと思ったら、結局自分のことしか考えてないじゃん。



私は絶対こういう人にはならない、と話の最後にやさしく微笑んだ母をみて思った。



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