赤い月 参

それはさておき、面会場所となった秋時が居住する慈龍寺の庫裏に、学校を終えた景時はうさぎを伴ってやってきた。

うさぎが鬼神であることは慈龍寺では周知の事実であり、今日に限り、寺の守りである『闇の者』を退ける強固な結界は解除されている。
彼女を傷つけないためではなく、以前いとも簡単に突破されてしまったからなのだが。

幼い頃育った、勝手知ったる庫裏の玄関扉に手をかけた景時が、緊張した面持ちで今日は少し後ろを歩くうさぎを振り返った。


(いったいなんだってンだ?)


景時とうさぎに会いたいという、勘違い野郎。

オニに怨みを持つ者が集まり、オニを退治することを目的に結成されたド素人集団『劉聖会』(リュウセイカイ)。
なんの知識も持たない者が何人集まろうとオニに敵うはずもなく、多数の被害者を出して十年ほど前に瓦解したらしい。

だがその勘違い野郎は、『劉聖会』を名乗っているという。

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