赤い月 参

(まだ一人なんだ?)


景時と秋時は、チラリと視線を絡めあった。

危ないバカは、コイツ一人。
コイツさえ諦めさせれば、無意味に命が失われることもない。


「心配も口出しも無用、ね。
じゃ、なんでココに?」


ぶっきらぼうに口を開いた景時に視線を移した水原は、最初に会った時と同じ、探るような目をしてしばらく黙っていた。


「…
個人的にあなたにお願いがあるんですよ、景時さん。
妖魅を使役しておられますね?」


「なんでそー思うの?」


「あなたが『鬼寄せ』と言われる術を破ったのでしょう?」


「…」


「あなた方が扱う『浄化』の力では、オニに変わりゆく被害女性の魂も『闇』と共に消えてしまうでしょう。
だが、被害女性は今もヒトとして生きている。
方法はわかりかねますが、『浄化』に対抗し得る全く別の種類の力が、その女性の魂を守ったのではないかと考えたのです。
違いますか?」


水原の瞳が眼鏡の奥で、どうだ?とばかりに煌めいた。

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