揺れる水面 映る月影は何処から
「やっぱり馬鹿だね…、夏樹」
妃絽が馬鹿を見るような眼差しを夏樹に向けると、彼は不思議そうに頭を捻る。
「何か言った、妃絽?」
「いや、別に。でも、いつまでも戻らなかったら、繭や園長達を哀しませるかもね…」
ふと妃絽の表情が曇る。
施設の子供達や繭、園長達とは血は繋がっていなくても、家族同然に暮らして来た。
何の恩返しもせずに行方知らずになるのは申し訳ない気がした。