結婚白書Ⅰ 【違反切符】


「今夜は妹さんも来るんでしょう?私初めて会うのよ 高志さんに似てるの?」


「うーん 似てるかって聞かれれば似てるかも 背は高いよ

性格は全然違うな あいつは冷静なヤツでね いつも平然としてるんだ

要領が良いから 親に心配もかけないよ」



今夜 彼の妹さんに初めて会う  

私よりも二歳年下で 官庁に勤務していると聞いていた


家族になる人

結婚したら義妹になる


どんな人だろう

ここ数日 そのことが頭から離れなかった



「心配いらないよ 和音なら誰とだって上手くやっていけるだろう?

あのお袋に気に入られてるんだから 大丈夫」



高志さんはそう言って笑っている







「和音ちゃん いつもありがとう ホント助かるわぁ」



高志さんのお母さんは まず私に声を掛けてくださる



「高志 お帰り 背広持ってきたわね?まさか忘れてないでしょうね」



母親と息子って こんな素っ気ない会話なんだと 

ここに来るようになってから知った



「朋代 来てるわよ」



お母さんの視線の先に現れたは

すらりと背の高い 涼しげな目をした女性だった



「お兄さん お帰り 久しぶりね 和音さんもどうぞ」



さらりと案内され 奥へ通された





「初めまして 朋代です 兄がこれからお世話になります」



そう言うと 彼女は丁寧に頭を下げた

私も挨拶をしようと思ったら・・・



「おい なんだその挨拶は 俺が世話になるのか?」


「そうよ どう考えてもお兄さんの方がお世話になるんじゃない」


「お前なぁ 言ってくれるじゃないか」



兄妹のやりとりに 思わず吹き出してしまった



「和音です こちらこそよろしくお願いします」



可笑しくて そう言うのが精一杯だった




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